龍の天廊書斎

龍火のブログ。創作小説など置いてます。

2015-01-01から1年間の記事一覧

いばらの姫は棺を背負う。

世の中は綺麗事で溢れているけれど、結局それは幻想でしかない。全てのものは金で買える。 時として命すら、酷く簡単に奪えてしまうのだから。そして京羅はそれを幼い頃から散々思い知っている。 何故なら彼女は、常にその"命を奪う"側だったからだ。*** …

哀れな道化は今日も逝く。

それは言うなれば生じた時から決まっていた運命だった。 あらゆる物語を渡る事ができる能力を有す代わりに初めから持ち得なかったもの。彼は世界に交わらない。否、交われない。 何故なら彼は、この世界において他とは異なる性質を持つ異存在だから。交わろ…

そして彼らの運命は隣り遭う。

深くて暗い洞窟の中。 彼は静かに横たわって居た。ここに閉じ込められる以前の記憶は何故か殆どない。 激しい熱を帯びている左肩がどうなっているのかも、その原因も分からない。 身体と心はこんなにも冷えきっているというのに。ただ、何故だか酷く疲れてい…

仄かに香るは。

鉄錆の臭い。 全身に赤い体液を浴びながら楽しそうに笑っている幼女が一人。 勿論、言うまでもなく全て返り血である。彼女の名はクィッチ・ニー。 最年少にして最重要の、凶悪指名手配犯だ。その性質はとても無垢で酷く純粋。 それと幼さ故の無邪気な残虐性…

《設定・捕捉》深海症について。

深海症正式名称は体外気圧異常症。 一般に奇病と呼ばれる病の一種。 患者数は非常に少なく、二桁居るか居ないかとされる。 その症状は極めて奇妙で厄介。 この病気にかかると気圧を異常に感じるようになり、やがて通常の環境下において生きることが難しくな…

月輪と星の宮

そこは小さな小さな世界の中。 奇妙な道を通り抜けて偶然辿り着いた先のとても窮屈なその場所に、彼女は居た。真っ白で無機質な部屋。 ベッドの上に力なく横たえられた身体。……よっぽど退屈していたのだろう。 その場所の主は予想外の訪問者に驚きこそすれ、…

深海姫

周囲を透明な壁に囲まれた四角い空間。 青い家具に囲まれ、彼女はそこで暮らしていた。体外性気圧異常症。 またの名を『深海症』この病にかかっている者はいちじるしく少ない。 原因は謎で治療法も謎。そんな希少にして奇怪な病であった。大概の患者の場合、…

凍った瞳。

それは、彼の瞳に、心に焼き付いた記憶。地面に転がされ、既に動かなくなった父の骸。 幼い自分を逃がすために身を投げ出し、粗末な槍に貫かれた母の絶叫。 『……おっと、逃がすわけにはいかない』 そして母の前に立ちはだかっているのは、彼がつい一昨日パン…

それは言うなればくだらない嫉妬。

まるで温もりを知らない氷のようだと思った。 どこまでも冷たく、視るものを凍らせる凍てつく青、絶対の青。 確かその瞳に興味を持った事がきっかけで、私は彼についていく事を決めたのだったか。……しかし今は見る影もなく、その瞳は熱にうかされている。『……

血濡れた手は誰も欲しない。

ぱたぱたと駆ける音が、しんと静まり返った廊下に響く。 「あにうえ!」 本を大切そうに抱き抱えながら走る小さな娘は、兄の姿を見つけて歓喜の声を上げた。 『どうしたんだ?随分と急いで来たようだが』 兄が聞けば 「あの、あにうえ!ごほんよんでください!」…

始めに。

龍火と申します。此処は俺の自創作の小説置き場です。以下、注意事項。・ここはオリジナルの小説置き場です。版権とは一切関係ありません。・文章力は絶賛欠乏です。拙い所、お見苦しい所など多々あると思いますがどうかご容赦ください。・龍火は二次元恋愛…