仄かに香るは。
鉄錆の臭い。
全身に赤い体液を浴びながら楽しそうに笑っている幼女が一人。
勿論、言うまでもなく全て返り血である。
彼女の名はクィッチ・ニー。
最年少にして最重要の、凶悪指名手配犯だ。
その性質はとても無垢で酷く純粋。
それと幼さ故の無邪気な残虐性を併せ持つ歪んだ娘。
彼女は殺人を遊ぶ。
楽しく遊んで、まさに飽きたらぽい、だ。
彼女にとっては人の命などただの玩具に過ぎない。
物事を正しく理解するにはあまりにも幼い彼女を矯正できるはずがない。
中には決めつけるには早過ぎだ、という者も居るかもしれない。しかし実際にそうなのだ。
いや、寧ろ遅過ぎる。
何せとうに彼女の身体には、殺人者としての技術が染み込んでいるから。
***
殺人幼女クィッチ・ニー。
彼女はとうに人の道を外れ、最早戻れない場所まで来てしまっていた。
「わたしはね、あかがいちばん好きなんだ!」