龍の天廊書斎

龍火のブログ。創作小説など置いてます。

2016-01-01から1年間の記事一覧

それでも肯定されたかった誰かの御話。

『生まれてきてくれてありがとう』それが俺の覚えている限り最も確かな、そして一番古い記憶。 ***「ん…」 鉄格子の隙間から差し込む朝日で目が覚めた。ぼんやりとする頭を振って上体を起こし、真っ先に左手の包帯を解き状態を確認する。 それは昨晩とさ…

青の王

幸せに生きることは難しい。 それはまさに薄い氷の上を歩くが如し。 いつ壊れるか分からないものを、それでも欲するのが人の性だというのなら。 それは何て哀しいことだろう。 『きっと世界に神など居ない。 居たとしても慈悲はない』そうでなくてはおかしい…